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なぜ神戸が関西インバウンド「一人負け」と言われるのか

2024.05.13| タグ:

先日、Yahoo!ニュースで気になるニュースを目にした。
【関西インバウンド「一人負け」の神戸 ベイエリアてこ入れで港町復活なるか 大型集客施設相次ぐ】というタイトルのニュースで、神戸を訪れる観光客が伸び悩んでおり、令和5年の観光目的の訪日外国人数で兵庫県が奈良県に追い越され、兵庫県内の観光関係者は危機感を募らせているといったものだ。

神戸市の街並み。インバウンド「一人負け」と言われるが…

 

記事によると課題は下記のようになっている。
・インバウンドが低迷しており、観光客数が不足している。
・人口流出が懸念される状況である。
・神戸市の観光地としての知名度が低い。
・交通アクセスや観光施設の利便性が不十分である。

さらに記事内では兵庫県や神戸市が取り組んでいる解決策を下記のように報じている。
・新たな集客施設の整備により、神戸市の魅力を高める。
・神戸ポートタワーや神戸須磨シーワールドなどの新施設を通じて、観光客の誘致を図る。
・GLION ARENA KOBEなどの大型アリーナを中核とした新エリアの開発により、観光客の増加を促進する。
・インバウンド需要に対応するため、神戸空港の国際定期便の運航開始や交通アクセスの改善を行う。
・交通網の整備により、観光客の利便性を向上させ、観光地としてのアピール力を高める。

要はコンテンツの追加整備と交通インフラの整備をおこなってインバウンド集客を強化するというもの。

改札にクレジットカードのタッチ決済機能などを追加することを検討しているという。

 

これに関して、インバウンドのプロの目線から意見したいことがある。
(これまでの経験からの持論ではあるがと前置きした上で)
前提として、兵庫県が大阪、京都、奈良対比でターゲット属性をどうしていくのか、どこまで訪日外国人を増やしたいのか次第で施策は全く異なるが(記事内ではそこまでの言及はない。)、まず、交通インフラ整備は(エラライン増便等を除き)訪日客を増やす為の直接的な手段にはならないことを伝えておきたい。
確かに、インバウンド利便性向上=満足度向上にはなる。
しかし、そのことを事前にPRしたところで、訪日客の増加に繋がる訳でもなく、仮に訪日客が旅中でそのことをSNSで拡散したところで、それをフックに行ってみたいとはならない。
新規の旅行客の獲得には直接影響しないのだ。
リピーターの獲得につながるのでは?という声もあるが、そもそもとしてインバウンドがそれだけの理由で簡単に何度もリピートするかと言ったら、正直それは難しく、あくまで日本という国への旅行の一感想にしかならない。

そしてコンテンツの強化や追加整備についてであるが、これもただ新施設を建設し、既存の施設の魅力を高めるだけでは誘客につなげることはできない。
開発だけでは「作りっぱなし」になる可能性が高いのだ。
往々にして自治体ではこの問題が多々起こる。
その原因の本質は、マーケティング目線の欠如だ。
例えば、今回の件にしても、「港町神戸の輝きを取り戻すこと」がインバウンドにどこまで刺さり、大阪京都奈良に対してどのくらいの優位性を持てるのか。そしてそれはどの程度マーケットがあるのか?
まずはここをじっくりと考える必要があるのではないだろうか。
ただ、これは仕方のないことである。
自治体職員は行政のプロ候補生であり、マーケティングのプロではないからだ。

そして記事内では言及されていなかった最も大事なこと。
それはブランディングとプロモーションだ。
どれだけいいコンテンツを作り上げても、認知してもらえなければ意味がない。
知らないところには行きようがないのだ。
そして、ブランディングができていなければ魅力を的確に伝えられないし、優位性をアピールすることはできない。
兵庫県や神戸市はここをしっかりと考えていく必要がある。

神戸の夜景。コンテンツの造成だけでなくブランディングやプロモーションが大事である。

 

歴史的な建造物の多い京都や奈良。東京に次いで2位の経済圏を誇る大阪。
これらの都市に対して勝負を挑んでいくのは難しいと思ってしまうかもしれない。
だがそんなことは決してないと断言しておく。
ターゲットに対しての理解を深めること。
そしてその上で合理的な戦略をしっかりと立てること。
ブランディングやPRといったところまで細かく設計をすること。
これらをきちんとおこなえば、神戸は必ず人気の観光地となることができると断言しよう。
以上のように、今、兵庫県や神戸市の観光振興に取り組む担当者たちは、関西圏内または日本全土における兵庫県、神戸市の立ち位置(ブランディング)を設計し、中長期的な目標を定め、施策を実施していくことが大切なのではないだろうか。

(武内 大)

 

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